Q:
本屋大賞のノンフィクション本大賞を 去年の11月に取られてから、インタビューが増えていらっしゃると思いますし
京都や神奈川の高校の司書さんからも1位に選ばれたりとかして、すごいお忙しいと思うんですけれども、その後で ご自分の様子が変わったとかそういうことってありますか?


ブレイディさん:
私は普段はイギリスに住んでいるので特に分からないというか。もちろん向こうの書店に私の本があることもないですし、そんなに騒ぎになっている 実感はないんですけれども、たまにこうやって日本に帰ってきて取材とかインタビューを 受けたりとか書店さんに行ったりとかする時にえらいことになってるなぁ、と。

Q:
そうですよね。どこに行ってもあのポスターがあって平積みでっていう感じだと思うんですけど SNSはあまりご覧になったりはしないんですか?


ブレイディさん:
私は SNSは 基本的に嫌いなので、自分もtwitterや facebook はやっていないですし、たまに
twitterは 見に行くこともありますけど、自分自身やってないのでそんなに分からないですね。

Q:
私たちは、実は高校の図書館司書で、今回のインタビューも高校の図書館に関わるようなことをすこしお話聞かせていただこうと思ってお時間とらせていただくんですけど、色んなインタビューを見せて頂いたところご出身が福岡で、実は私、年齢が結構近いですね。


ブレイディさん:
はい。そうなんです。

Q:
それで思い返してみると私も高校時代に司書がいる学校図書館を使ってたんですけれども、ご自分の高校時代に学校図書館をお使いになった経験とか司書さんとの思い出とかありますか?


ブレイディさん:
私は高校時代に進学校に入ったんですね。県立の修猷館高校なんですけど、まぁ、ちょっと落ちこぼれてですね。結構悪い子だったんですよね。結構、授業中とかでも合わない先生の授業だったら出たりとか。途中で出ていっちゃうというか。結構、悪い子だったんで、なんというか先生たちの手を焼かせたんですけど、非常に目をかけてくださった国語の先生がいて、その方が高校2年3年を担任してくださったんです。

私は本を読んだりものを書いたりするのが、その頃からとても好きだったので、嫌な授業や出たくない授業があったら図書館に行って本を読んでこいって言ってくれて、それだから半分図書館で暮らしたようなもんですよね、あの頃は。

すごく長い伝統を持つ高校だし結構建て替わってますけどその頃は、ものすごく立派な図書館があったんですよ。学校の校舎の外にあって、司書さんもいらっしゃって、いつも私が来るから顔馴染みみたいになっていて、そこにその学校の卒業生のOBが結構、その関係者がもともと藩校だった学校だから非常に古い学校なんですけど、玄洋社というのが福岡にありまして、そこの関係者が多かったから、その玄洋社関係者の本が入ってる棚があったんですね。

そこにあの夢野久作のお父さんとかがやっぱり玄洋社の関係の方で、夢野久作も『近世快人伝』っていう玄洋社の人々のことを書いた本を出していて、まぁ最初にそれを読んで、「なんて破天荒で面白い人たちがその時代にいたんだろう」と思って、それで夢野久作も知って。
ドグラマグラとかも。


     

夢野 久作(著/文)
発行:文藝春秋
文庫判  256ページ
定価 980円+税
ISBN9784168130465




     

夢野 久作(著)
発行:早川書房
縦190mm  502ページ

ISBN978-4-15-000276-3




Q:
ドグラマグラは今の高校生も読みますよ。私の勤務校も超進学校で女子校なんですけど、いまは焼き直している本もあって、生徒たちが読んでいますね。


ブレイディさん:
そうなんですね。ああいう本に目覚めたのもそこからだし。大杉栄とかもアナーキストなんですけども、大杉栄のパートナーの伊藤 野枝は、叔父が玄洋社関係の人だったりとかするので、大杉栄と伊藤野枝とかの本もその棚に入ってたりとかですね。そこから非常にその大正時代の人をまあ政治運動とかやってた人の本も読み始めたりとか。なんかまあ今にわりとつながってるんですよね
例えば、去年『女たちのテロル』という金子文子についての本を出したんですけど、金子文子を知ったのも、あの棚つながりだし、今につながる素地をあの図書館でもらった気がしますね。



     

ISBN 978-4-00-061342-2 
 C0095 四六判 262頁

定価 1,800円+税

発行 岩波書店

書店発売日 2019年5月31日





Q:
その学校生活そのものというよりも、そこで出会った本、あと音楽がもちろんお好きでしたから渡英されたというのも、いろんなインタビューで読ませていただいているんですけど本とか音楽とかそういうものが自分の体の中に入って作られたという実感があるんですね。

ブレイディさん:
そうですね。本と音楽は非常に大きいですよね。
それって今の執筆活動でも……たとえば、今回、ナンバー1に選んでいただいた作品でも音楽の話がけっこう出てきますよね。

Q:
そうですね。

ブレイディさん:
音楽と本というのは、確かに今でも高校時代の私を思い出したらバンド活動もしているので「バンド」と「図書館」っていうのがすごくあるんですけど、そういうのはもしかしたら今でも引きずってるかもしれないですよね。

Q:
バンドでプロになろうとは思いませんでしたか?

ブレイディさん:
プロになろうというのはあんまり思ってなかったですけど、バンドの曲を作ったり、歌詞を書いたりとか、そういうことをやっていて、その詞を書いたりとかするのもやっぱりその図書館で読んだ本からヒントを得たりとかすることもありましたし、なんかやっぱ音楽と図書館が密接につながってましたよね。

Q:
先ほど登場された先生に大学進学を勧められたっていうのをいろんなインタビューとかでちょっと読ませていただいたんですけど。でも進学されないで行こうと決心されたのはどういう心のきっかけがあったのでしょうか?

ブレイディさん:
とにかくイギリスのロックというか、パンクやポストパンクと言われる音楽がすごく好きだったし、(英国には)大好きなバンドやミュージシャンもいたので、とにかく行きたい、その輸入されてくるのをレコードでも何でもそうなんですけど、待ってるのが嫌だ、もう現地に行きたい、現地でその人たちが生きているところに生きてみたいとかやっぱりそういう思いがあったんだと思うんですね。

その先生が大学に行けって言ったのも、私は嫌いな教科とか結構白紙で答案用紙を出してたんですけど、でも、白紙で出すと時間は余るじゃないですか?やることもないので。

Q:
寝てるしかないというか。

ブレイディさん:
もうやることもないけど、なんかとりあえず書いていれば、何かやってるように見えるかなって感じで、結構、その答案用紙の裏に自分で考えて、それこそバンドの歌詞とかですね、あと勝手に大杉栄とか読んだら、それについて自分がちょっと書いたミニ論考じゃないですけど、そういうものを書きつけたりとかしてたんですよ。

そしたら、その教科の先生が国語の先生に見せたみたいで。それをみて、国語の先生が「君は大学に行ってたくさん本を読んで、ものを書きなさい」と、その頃すごく言ってくださってたんですけど、私はもう今更、大学に行くには他の教科も勉強しないといけないし、うっとうしいし、それよりは卒業して、お金を貯めて、とにかく、イギリスに行きたいっていう気持ちが強かったんで、大学進学は全然考えてなかったですね。

Q:
どれぐらいの期間でお金をためて行けたんですか?

ブレイディさん:
1年半とかすごいもう鬼のように働いて。

Q:
それぐらいでお金が貯まったんですか?

ブレイディさん:
それくらいで行ける?時期でしたよね。
今はどうなんだろう。

Q:
今も結構音お友達のお子さんとか
思いきって行っちゃってる人とかいるんですけど
なんかそれって意外と親がかりだったりとかもして
そういう意味ではブレイディさんは親に頼らないっていうのが。

ブレイディさん:
でも時代的にも良かったというか。日本ってデフレ経済が
続いてるんであんまりその賃金とか上がってないですよね。

それに対して海外は物価とかもちゃんと順調に上ってますから、今例えば1年半働いて貯められるお金って多分私の頃と今ってそんな変わってないんですよ。日本でなんかよく失われた20年とか30年とか言いますけどね。

でも、その同じお金を持って英国に行っても、たぶん私が1年間いられたとして、今は半年ぐらいしかいられないと思うんですよ。それだけ日本経済が縮んでいるので。だからそこは違うんじゃないかなーって。

若い人があんまり海外に出たがらなくなってるって聞くんですけど、そういう経済的な問題はあると思いますよね。

Q:
あと昔の人の方が夢を持つことに対しての良さというか。
今なんかどうせ年金もらえないとか、何かそういうふうにネガティブ思考に若者がなっちゃうことがすごく多いので、たぶん私たちが高校大学ぐらいのほうがまだなんか。ちょっと頑張ればなんとかなるかなみたいな
よく1年間アルバイトをしながら
行こうっていう気持ちを失わなかったなーっていうのが。

ブレイディさん:
そういうことしか考えてなかったんですからね。なんかやっぱり、でも私たちの時代ってそういう人はいましたよね。

Q:
いましたいました。

ブレイディさん:
いっぱいいましたよね。英国好き。英国の音楽好きで、
「じゃあ、もう行っちゃおう」みたいな。なんかそういう時代だったし、今よりも楽天的でしたよね。何とかなると思ってましたよね。

Q:
そうですよね。

ブレイディさん:
それもやっぱり私は経済がいい時代だったからだと思います。

Q:
あと、たぶん情報が少なかったのはあると思います。
さっきSNSをされないとおっしゃっていましたけど、SNSとか何かそういうもので、若い子はいろいろな情報を取れてしまうから、自分が体験しなくてもやった気になっちゃったり、知った気になっちゃうことがすごく多い気がするんですよ。そういう意味では、あの日本の若者の方が耳年増になっちゃってる感じがすごいあって、ご著書の中でもいろんな子どもたちの様子とかが描かれてたんですけどすごくシンプルでいいなと思って読ませていただいたんです。


日本のことを執筆される時って資料はどうやって取り寄せたりしますか?

ブレイディさん:
やっぱり編集者さんに頼んで送っていただいたりすることが多いですね。

Q:
公立図書館でリファレンスっていう言い方をするんですけど、何か参考調査をしてこういうのを取り寄せて、とかいうのをご経験されているっていうのはありますか?

ブレイディさん:
去年、出版された『女たちのテロル』という本は金子文子と、英国人のサフラジェットだった女性と、それとアイルランド人のイースター蜂起で戦った女性兵士の話だったので、それに関しては色々と昔の新聞の資料だとかそういうものの閲覧を許してもらったり、取り寄せてもらったものがありました。

Q:
じゃあそういう意味ではサービスはすごくいい感じで?

ブレイディさん:
いいですいいです。とてもいいです。
あと保育士の資格を受けた時なんかは、すごく取り寄せてもらいましたね。インターネットで取りよせられるようになっていて。たくさん、お願いしましたね。

Q:
図書館をご愛用いただいている感じがして
すごく嬉しいです。ありがとうございます。

英国と日本の生きやすさみたいなことを伺いたいです。

ご在住は英国だけど、
日本に戻られてきて、
子どもたちの様子をご覧になったりして感じるようなことはありますか?

ブレイディさん:
今はですね。日本に戻ってくるといっても、取材をうけることが主なんで、あまり日本の子どもと触れ合う機会がないんです。
前に来た時に取材を受けた時に大学生の方が取材をしてくださって、話をしたことがあったんですけれども、なんかやっぱり今の日本の若い人学生さんとか、わりとこう、夢がないというか結構閉塞した状況だというようなことは聞いていますよね。

Q:
高校生にもこの本は結構人気があって、保護者が読みたくて選んでるって言うところも、もしかしたらあるかもしれないですけど、うちの生徒なんかもすごいよかったとか面白かったとか。
多様性や自由であることって、自分の中で厳しいところがないとできないこととかがあるっていうことが、本当にシンプルな言葉で伝えてくださってるんで、ちょっと読み合いたいという気持ちがあったりするんですが、例えば高校生と一緒に読書会みたいなものがあったら、参加してみたいという気持ちはありますか?

ブレイディさん:
もう、時間が許せばですね。

Q:
機会があればぜひお願いしたいと思います。

最後にやはり高校生に向けて、この本を読んでほしいと言う司書の強い思いで選ばせていただいて、今回第一位になったということで、いまの日本の高校生に何かメッセージを生の声で頂けたらありがたいと思います。

ブレイディさん:
はい。

この本は、多様性について書いた本だというふうによく理解されるんですけれども、まあそれだけではなくて、人間にとって本当に大事なもの。例えば、貧しい友達に制服をあげるシーンがあって、そこで、うちの息子が「君は僕の友達だからだよ」ってすごくシンプルな言葉を言ったりするんですよ。だから、人と人とのつながりというか、関わりというかそういうものの大事さを書いた本でもあると思うんですね。

で、ちょうど私、昨夜、高校時代の同級生とですね。
20数年ぶりに会って、全然変わってないねとかって、すっごいその時に本当に戻って、本当にあんまり人と話さないような話もしたことがあって。で、高校時代ってそういう友達を作れる時期ですよね。

そういうのって本当に一生の宝になるんですよ。
高校時代に読んだ本と聞いた音楽と高校時代に会った友達っていうのは、結構私の自分の殻をつくっているとも思うので、もう何も有意義な高校生活っていうのは勉強して良い大学に入ることだけじゃないから、たくさん良い本に出会ってたくさん良い音楽を聴いて、たくさんの人と話していい友達をつくってください。

Q:
ありがとうございました。貴重なお時間をいただきました
ブレイディみかこさんにインタビューさせていただき
ました。どうもありがとうございました。

ブレイディさん:
どうもありがとうございました。
 

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