全受賞作品とコメント2018
2019年11月〜2020年10月に出版された本から
高校生にすすめたい本を、
埼玉県の高校司書がピックアップ!
古生物のサイズが実感できる!
リアルサイズ古生物図鑑 古生代編
土屋健 著 群馬県立自然史博物館 監修 技術評論社
作者の土屋健先生からコメントをいただきました
部活動や勉強に疲れた時、肩の力をぬいて楽しめる古生物本はいかがですか?約5憶4100万年から約2憶5200万年前の「古生代」に実在した動植物。そのサイズ感を直感的に味わうことのできるこの本で、青春のひとときをすごしてくれるのなら、著者としてとても嬉しいです。一人でニヤニヤ、友人や恋人と一緒にワイワイ。ぜひ、楽しんでください。
県内司書の推薦コメント
古生物が日常の中に紛れ込んでいるので、実際のサイズがよく分かる。どこにいるのか探すのも楽しい。手に取った生徒はみんな笑いながらページをめくっていた。
今ここに古生物がいたら…と空想が膨らむ本。化石に興味がない人でも楽しめると思います。
サイズに注目した面白い古生物の図鑑。
1ページ1ページ写真・解説に工夫がなされており、ただ眺めているだけでも全然飽きが来ません。
現代の身近な風景の中に描くことで、現存しない古生物の「サイズ感」をリアルにイメージできる!
日常のあり触れた風景、でもよく見てみると違和感が?CG技術を駆使した、新しすぎる古生物図鑑。シュールな世界に笑いながらも、古生代を身近に感じることができる一冊。
古代の生物が現代まで生きていたら、こんな感じなのかと思いワクワクしました。
知識としてクジラは大きいと知ってはいても、実際に見ないと実感はできないものですよね。まして、もう絶滅した動物なら、なおさらです。そんな古代の生き物たちの「サイズ感」を上手に伝えてくれるのが、この本です。思ったより小さかったり、逆に大きかったり、めくっているだけでも楽しい一冊です。
あのお堅い?古生物がぐっと身近にチャーミング姿を見せてくれます。楽しい本です。
他のどの図鑑よりもわかりやすい!
今まで想像するだけだった古生物も、この図鑑なら一目瞭然。原寸大のCGを、現代の写真の中に紛れ込ませたアイデアは秀逸。続巻をぜひ期待したい
そして、バトンは渡された
瀬尾まいこ 著 文藝春秋
作者の瀬尾まいこ先生からコメントをいただきました
高校図書館のいちおし本、2位に選んでいただき、ありがとうございます。何をしている時もキラキラとまぶしい高校生の皆さんにこの本を手に取っていただける機会になるかもと思うととてもうれしいです。ありがとうございました。
県内司書の推薦コメント
主人公の周囲の大人達がファンタジーと言ってもいいくらいに皆が良い人たちで、読んでいて温かな気持ちになる。温かい、楽しい、幸せ。そんな読書体験をこの本で堪能して欲しい。
生きていくことに前向きな気持ちになれる本です。
家族を構成するものは本人たちの気持ちなのだなと深く感じ入りました。
優しい気持ちになれる作品。「家族」に対する考え方が少し変わるかも。
両親の離婚・再婚で、父親が3人、母親が2人いる17歳の優子。一見過酷に見えるこの環境だが、彼女は「全然不幸ではないのだ。」優子の親たちの優しくも不器用な人柄がなんとも素晴らしい。ファンタジーかもしれないが、人と人の繋がりはこうあってほしいと願いたくなる、暖かさに満ちた作品だ。
優しくて温かい、読んでいて気持ちが良い作品です。
新しい家族の形。みんな、しあわせなのがいい。
家族って何?最後の場面にすべてが込められているように思います。
主人公が良い子すぎるし、やっぱりフィクションなのだけど、それでも、いい作品だと思います。読後感もよくて、途中、笑える場面もちらほらあり、終わりまでゆったりとしたいい時間を過ごせます。
読み終わって、タイトルにしみじみ思いを馳せました。
みえるとか みえないとか
ヨシタケシンスケ・さく、伊藤亜紗・そうだんアリス館
作者のヨシタケシンスケ先生と伊藤亜紗先生のお二人からコメントをいただきました
この度は選んでいただき、本当にありがとうございます。この本が、自分と他人の違うところと同じところを認識する難しさ、大切さ、面白さを考えるきっかけになってくれたら、とても嬉しいです。もとになった伊藤先生の本も、ぜひ読んでみて下さい。
(ヨシタケシンスケ先生より)
「ふつう」はむずかしい。いや「ふつう」なんてないのかも。目が三つある宇宙人からすれば我々は「目が一つかけている不完全な生物」だろうし、空を飛べる鳥からすれば「地面にしばられた不自由な動物」だ。障害って何?健常って何?あなたの体について、そしてあなたと違う体をもった人とのつきあい方について考えるきっかけになれば(伊藤亜紗先生より)
県内司書の推薦コメント
障害は、人ではなく社会にある。最近よく目にする考え方ですが、こんな伝えかたがあったのか!と目からウロコが落ちました。障害について学ぶなら、まず勧めたい一冊です。
「障害は個性だ」という言葉をストンと理解させてくれる本。いや、障害だけでなく、「人と違って大変そう」と安直に感じることにもブレーキをかけてくれる。
見えないことを個性の1つとして、わかりやすく読ませてくれた。
障害を持つ人、ひいては自分以外の他者と付き合うための心構えを軽やかに教えてくれる本だと思います。
黒板アート甲子園作品集
高校生たちの消えない想い
日学株式会社・総監修 日東書院本社
担当編集者さんからコメントをいただきました
毎日眼にしている黒板が、世界でたったひとつのキャンバスになる。これが黒板アート甲子園の根幹です。高校生たちが独自の発想でさまざまに表現した作品は、見る人にそれぞれの青春を思い起こさせてくれる力強さがあるものと信じています。
皆さんにも楽しんでいただけますように!
県内司書の推薦コメント
学校で毎日向きあってるあの黒板。これがなんとすばらしい芸術に大変身。まさに錬金術のなせる技。そう、高校生アートの傑作労作集。チョークと黒板が織りなす美しさに驚きと感動が待ってます。本当にこれがすごいんです。大宮光陵高校の最優秀受賞も載ってます。
とにかく表紙の大宮光陵高校の作品に「えっ写真じゃないの!?」と二度見の生徒続出。
一瞬だけ輝いて消えてしまう儚さに心打たれました。
これらを描いた高校生たちの熱い思いが感じられる1冊。埼玉県の高校が大活躍しているのも良い。
独創的な黒板アートの世界に魅了されました。
驚きの黒板絵、埼玉の高校も多数入賞
愛なき世界
三浦しをん 著 中央公論新社
作者の三浦しをん先生からコメントをいただきました
この本の主人公は、植物の研究をしています。理系の勉強は苦手だなと感じているひと(私もそうです!)にも、おもしろく読んでいただけるよう心がけて書きました。身近な存在だけど謎がいっぱいな植物の世界を、お楽しみいただければ幸いです。おいしいご飯も登場しますよ。
県内司書の推薦コメント
植物の研究へとのめり込む本村さんの姿に、自分の好きな1つのことを深める面白さに気づかされます。
身近な植物で当たり前に思っている事も、実はまだまだ謎が多いのだと思わず興味を持たされたり、大学での研究がどんなものなのかががっつりと描写で伝わってきたり、そこに一度は振られる恋も絡んだりと、たくさんの要素が深く楽しめる作品でした。
時間を忘れて夢中になれるものがある人は魅力的で、強いです。愛すべき「オタク」たちがたくさん登場する小説です。
タイトルとは裏腹に、この小説には「愛」が溢れている!植物への愛にまみれた研究者たちも、その研究者の1人である本村さんに恋する料理人藤丸君もとても魅力的。「愛ってなに?」と考えるきっかけになるかも。
植物を愛するリケジョの本村さんに恋した洋食屋の藤丸君の一途な恋を応援したくなります。植物研究の世界にも「へぇー」となります。
AI vs. 教科書が読めない子どもたち
新井紀子 著 東洋経済新報社
作者の新井紀子先生からコメントをいただきました
みなさんはAIやロボットが活躍する時代に大人になって社会に参加していきます。そのとき、あなたはAIやロボットを使いこなす側でしょうか。それともAIやロボットに使われる側になってしまうのでしょうか。それを左右するのは、基礎的な読解力と人間=ホモサピエンスとしての生きる力です。できるだけ多くのみなさんが、前者になることを願ってこの本を書きました。
県内司書の推薦コメント
読解力の危機的状況に驚く。AIの基本がわかる本。
AIができること、できないことを理解してこれからの生き方を考えて欲しいです。
先生への貸出の方が多いですが、生徒さんにこそ読んでもらいたい。
今年を象徴する一冊。「読む」ということの概念が変わりました。
風に恋う
額賀澪 著 文藝春秋
作者の額賀澪先生からコメントをいただきました
『風に恋う』は埼玉を舞台に吹奏楽に青春をかける高校生と、彼等を指導するコーチの物語です。埼玉県立越谷北高校を取材したことが、物語の方向性を決定づけることになりました。だからこそ、登場人物達と同じ埼玉で暮らす高校生の皆さんにぜひ読んでいただきたいです。
県内司書の推薦コメント
こんなに何か一つのことに一生懸命になれたなら・・・高校生という瑞々しい時代に「羨ましい!」の一言です。
現在の高校生のための作品だと思います。
青少年のための小説入門
久保寺健彦 著 集英社
作者の久保寺健彦先生からコメントをいただきました
イチオシ本に選んでいただき、ありがとうございます!この作品は、まったく境遇の違う青年と少年がタッグを組み、おもしろい小説を書くために悪戦苦闘する物語です。小説に限らず、読書には、だれかの人生を変えてしまうパワーがあります。どんなジャンルでも構いません。まずは一冊、気になる本を読むところから始めてみませんか?
県内司書の推薦コメント
有名な実在の文学作品を、ヤンキーと中学生の2人が素直な言葉で批評していくのが面白い!読んだことのない作品も、すぐにでも読みたくなります。そして、2人の小説創作へのひたむきな姿勢に引き込まれて、読後しばらく胸が熱くなりました。すべての小説好きさんによんでほしい!
引用されている小説がどれも魅力的で、読書欲が刺激される作品です。
意味がわかるとゾクゾクする超短編小説
54字の物語
氏田雄介・作 佐藤おどり・絵 PHP研究所
作者の氏田雄介先生からコメントをいただきました
54字の物語は、1話が54文字ぴったりの物語が90話収録された、意味がわかるとゾクゾクする超短編小説集です。……と、ここまででちょうど54文字です。この短い文字数の中にどれだけのストーリーを詰め込めるかに挑戦したのがこの本です。皆さんも挑戦してみてください!
県内司書の推薦コメント
1時間くらいでさくさく読める。解説を読む前に自分で考察すると楽しい。
たった54文字で物語が完結していることにびっくり
文章が読めない!という生徒には、まずここから。
たった54字に詰め込まれた無限大の物語に引き込まれました。
ブロードキャスト
湊かなえ 著 KADOKAWA
作者の湊かなえ先生からコメントをいただきました
『ブロードキャスト』は十代の人たちに向けて書いた作品です。
さまざまな悩みを抱えながら「放送部」でドラマ作りに奮闘する登場人物たちに、「放送部」でない方々も、自分を重ねながら読んでもらえると嬉しいです。
県内司書の推薦コメント
湊かなえにしては珍しい青春小説。読んでいて面白いです。
放送部のラジオドラマ制作部分が好きです
放送部の部活への取り組み方が知らない人でも分かり易くなってる1冊。