全受賞作品とコメント2012
2011年12月〜2012年11月に出版された本から
高校生にすすめたい本を、
埼玉県の高校司書がピックアップ!
著者・編集者と高校司書のコメント
県内司書の推薦コメント
著者のキャリアが生かされた作品。読んだら絶対にルソーの絵がみたくなる!!
キュレーターとして活躍していた著者の絵画に対する造詣の深さと愛情が感じられる作品で、とても楽しく読めました。
ソロモンの偽証
宮部みゆき 新潮社
宮部みゆき先生からコメントをいただきました
この作品の主な登場人物たちは中学三年生です。高校受験を控えた大事な夏休みに、課外活動として〈学校内裁判〉を行うという、けっこうムボウな中三生たちです。作中では法廷で丁々発止のやりとりをする彼らですが、今まさに現役の高校生の皆さんに読んでもらった場合、意外と子供っぽく見えるのではないか――そして、それは正しい解読なのではないか。2位に選んでいただいたという嬉しいお知らせを聞き、ふとそう思って、自分でも新鮮でした。ありがとうございます。あと蛇足ですが、司書さんは子供のころの私の憧れの職業でした。
ナミヤ雑貨店の奇蹟
東野圭吾 角川書店
角川書店の『ナミヤ雑貨店の奇跡』ご担当者様からコメントをいただきました
本作は、人生最大の岐路にたった人間たちが、ページを繰るごとに一本の線でつながり合い、張り巡らされた伏線が奇蹟のように結びついていきます。こんな世知辛い毎日だからこそ、登場人物たちの人情に触れ、心温まる物語を読んでみませんか?「東野作品史上、もっとも泣ける感動作」といって過言ではありません。(角川書店・高橋様)
県内司書の推薦コメント
各々にとっては無理もない、正しいという行動を取っていても悲劇が広がるやるせなさと、それに立ち向かう中学生たちの真摯さが胸に響きました。
県内司書の推薦コメント
悩み相談の手紙が時間を越え、人と人がつながっていくのが印象深い。
どんな悩みにも回答してくれるナミヤ雑貨店。こんなお店が本当にあったら…。不思議で感動的なお話です。
おもかげ復元師
笹原留似子 ポプラ社
笹原留似子先生よりコメントをいただきました
~自分のいのちは、自分で磨いて輝かせてあげるもの~
「死」という、いのちの現場から、埼玉県の高校生の皆さんにお届けします。
「明日生きる保証はない」と、亡くなっていった人達が教えてくれます。
皆さん一人一人の力で、すぐ近くの人達のいのちも、自分のいのちと一緒に輝かせてください。
県内司書の推薦コメント
絵日記とセットですすめたいです。どちらにしようか迷いましたが、あえて書籍を。
山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた
山中伸弥、緑慎也 講談社
講談社の同書ご担当者様からコメントをいただきました
山中先生、初の自伝です。町工場の経営者を父に持って育った幼少期にはじまり、「ジャマナカ」と蔑まれた臨床医時代、さらにiPS細胞に巡り会うまでの物語が、非常に読みやすく書かれています。「苦難を乗り越える姿に感動した」「科学者を目指したい」との読者の声、多数届いています。(講談社・石井さま)
県内司書の推薦コメント
今までの歩みがユーモアを交えて書かれており、またiPS細胞という一般人には難しいものについてもわかりやすく説明されている。今をときめく山中教授を大変身近に感じることができました。
旅猫リポート
有川浩 文藝春秋
文藝春秋の『旅猫リポート』ご担当者様からコメントをいただきました
猫のナナを連れ、ある秘密を抱えて旅に出た青年サトル。行く先々で出会いと別れを繰り返しながら、一人と一匹が最後に見る景色とはーー。「別れ」は誰の人生にも平等に訪れます。でも、その悲しみをも包み込む、大きな大きな幸せがあるのだと伝えてくれる物語です。(文藝春秋・八馬様)
県内司書の推薦コメント
猫が飼いたい。
生徒にも職員にも、哀しいけれど愛される本だと思います。
空飛ぶ広報室
有川浩 幻冬舎
幻冬舎の『空飛ぶ広報室』ご担当様からコメントをいただきました
夢断たれても、仕事も人生も続く!! そんなメッセージが込められた本作品は、パッとしない毎日を送る男女が、仕事を通じて新しい夢を摑み、成長していく様が描かれています。元気と勇気をもらえる小説です。社会で仕事をする面白さ、奥深さも伝わってくると思います。(幻冬舎・大島様)
県内司書の推薦コメント
パイロットになる道を絶たれた青年の成長ストーリー。航空自衛隊広報部のお仕事小説でもあり、著者の得意分野で読ませてくれます。
きみはいい子
中脇初枝 ポプラ社
中脇初枝先生からコメントをいただきました
自分のことをすきになるひとが、ひとりでもふえるといいなと願って書きました。
あなたは、ただそこに生まれてきただけ。
あなたはいい子。わたしもいい子。
たくさんの方に読んでいただいて、そんな思いがひろがっていったら、うれしいです。
夜の国のクーパー
伊坂幸太郎 東京創元社
伊坂幸太郎先生からコメントをいただきました
僕にとって優れた小説とは、あらすじが一言で言えないものです。ところどころで笑えて、はらはらする部分もあって、楽しい話なのか、悲しい話なのかも分からなくて、ただ、どこかに世界の秘密が隠されているような。だからこの長編もそういう小説になるように、できることは全部やりました。読んで、「不思議なものを読んでしまったな」と思ってもらえれば、嬉しいです。
県内司書の推薦コメント
楽しく読めます。そして心に残る1冊です。伊坂 world へ! Go!
本日の浮遊
林ナツミ 青幻舎
林ナツミ先生からコメントをいただきました
子どものころから「地に足が着いた人」になりたかったのに、私はいまだに落ち着きがない。そんな自分を素直に表現したのが『本日の浮遊』です。ジャンプした瞬間を写真に撮るだけですが、かなり「浮遊」に見えます。世界を見る視点を少し変えてみたら、この写真集ができました。
県内司書の推薦コメント
何気ない景色の中、ただ一人浮かぶ女性が一人。ふしぎな雰囲気の写真集。
雪と珊瑚と
梨木香歩 角川書店
角川書店の『雪と珊瑚と』のご担当者様からコメントをいただきました
ヒロインの珊瑚は、自分の足で立ち、自分の頭で考え行動する女の子。この世界には、成分表には載らない栄養素がある
──普段、当たり前のように繰り返している営みが、実はどれほどかけがえのないことの積み重ねかということがじんわり沁みてくる物語です。(角川書店・松崎様)
県内司書の推薦コメント
人と人とのつながりを深く深く考えさせる物語であると同時に、母と娘の物語でもあると思います。